『わたしはアダム・ランザの母です』 香咲弥須子

12/18/2012


『わたしはアダム・ランザの母です』。

 

 その投稿記事は、このように始まります。 

 アダム・ランザは、12月14日に起こった、コネチカット州ニュータウン、サンディフック小学校での銃乱射事件の犯人の名前です。

 

『わたしはエリック・ハリスとディラン・クレボルド(1999年のコロラド州コロンバイン高校銃乱射事件の犯人の名前)の母でもあり、 ジェームズ・ホームズ(2012年7月のコロラド州オーロラの映画館銃乱射事件の犯人の名前)の母でもあり、 ジェアード・ローナー(2011年のアリゾナ州での銃乱射事件の犯人の名前)の母でもあり、 チョ・スンヒ(2007年のバージニア工科大学での銃乱射事件の犯人の名前)の母でもあります』

 

 銃の議論ではありません。実際の、犯人の母親の投稿でもありません。精神的(機能的)に問題があって、成長するにつれ、危険な暴力性を示し始めた息子を持った母親が、“将来に起こり得る凶事”に震撼しながら、理解と助けを求めている記事です。

 

 この勇気ある記事の筆者、ライザ・ロングは、4人の子どものシングル・マザー。特別ケアを必要としているのは13歳の息子です。成績優秀、ふだんは優しく愛らしいその息子は、ほんのちょっとしたことで精神のコントロールを失ってしまいます。その頻度と危険度は年を重ねる毎に増し、ナイフを振りかざして、母親を「殺すぞ!」とやることもしばしば。そしてそれは、ついに他人も巻き込むようになりました。彼女は、しばらく前まで、包丁やはさみなどの家中の危険物を隠していたのが、今では、全部をつねに身につけ、外出時も、持って歩くまでになったそうです。凶器となりそうなものをいっさい息子のそばに置かないこと、それが、唯一、気をつけられることなのです。

 

 パトカーや救急車のお世話になることも一度や二度ではないのだけれども、医者は「これ以上できることはない」、警官は「犯罪に手を染めれば刑務所に“保護”できるのだが」「脅かしだけでは我々にできることは何もない」としか言えない状況。

 

 ライザは、We need help. と訴えます。「わたしひとりではとても対処できない」「わたしだけでは、起こるかもしれない事態を防ぐことはできない」と。

 

 わたしは、これまで、自分の子どもが「重大な犯罪をおかす可能性がある」と考え、苦しんでいらっしゃる方に、三組、お会いしています。ということは、当然、ニューヨーク近郊にそのようなご家族が三組いらっしゃるということではなく、もっと多くの方々がいる、もしかすると大勢の方々がいる、コントロールのきかない心を持て余している青少年が少なからずいる、ということです。

 いいえ、コントロールのきかない心に苦しめられているのは、一部の青少年だけではないでしょう。心急いたり、苛々としたり、息をつめて堪えたり、怖がったり、とりわけ惨事を耳にすれば大きく動揺してしまう者とは、わたしたち自身のことです。

 

 加害者と被害者という区別はありません。全員が被害者であり、その全員とは、わたし自身の心の鏡なのです。また、健常者と精神異常者の区別もありません。わたしたち全員が、愛と平和を見失ってばかりいるという点で、精神に異常をきたしていると言えます。

 

 わたしは、サンディフック小学校の惨事を耳にしたとき、心に刺すような痛みを覚え、それが実際、”とてもリアルに感じられた”ことに、正直、びっくり、そしてうんざりしました。痛みや悲しみをリアルに感じることを自分に許していないつもりで、やっぱり許しているのだなと。けれども、へこたれる代わりに、今こそ、しっかりほんとうのことを見ようと、気持ちを立て直しました。

 

 わたしたちは、子どもたちに伝えなければなりません。「そうよ、この世は怖いところなのよ、気をつけなければね」と言う代わりに、「あなたの学校ならきっと安全よ」と慰める代わりに、「銃社会はやっぱり怖いから日本に帰りましょう」と話し合う代わりに、「あなたたちは守られている。あなたには、愛と平和の人生だけがある」「惨事を見ることは、もうないから大丈夫」と伝えてあげることを選ばなければなりません。

 

 そのために、ミラクル・ワーカーであることを、今一度、しっかり心に決め、わたしたち自身が助けを求め、そして孤立することなく、各家庭が離れ離れに存在することなく、区別、差別をすることなく、一緒に、心の震えを直視し、みんなで同等に受け取り、ワークし、ゆるし、一緒に癒されていきたいと思っています。

 

 今日は、英語でのACIM クラスの日でした。生徒さんたちとミラクル・ワーカーであることを確認し合い、亡くなったお子さんたちの魂とつながり、彼らのメッセージを聞くワークをしました。魂は、花火のように勢いよく、カラフルで、まぶしいほどに輝いていました。わたしたちを深く癒してくれた魂に、手を合わせています。

 

 香咲弥須子

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