CRSレポート 小野永保子 坂本悦子

4/17/2014

Aさん  前回の「じゃない会」から今日までに、息子の検査結果が出て、軽い自閉症と診断されました。それでこれから、息子にフルタイムの補助の先生が付いてくださることになりました。他の学校を選ぶこともできるので、私立の専門の学校や、自閉症を持っていても行動に問題の無い子供たちの学校を見学したところ、それぞれが素晴らしい学校とスタッフだったので、最初は、今の学校に残るのが最悪の選択だと感じました。でも、息子の気持ちを聞いたら、「僕は今の学校で大丈夫、この学校にいたい。」と言うのです。友達に相談したら、「どこに行きたいかを子供に聞いたら、今の学校にいたいというに決まっているから、それをちゃんと導いてあげるのが親の仕事だよ。」と・・。どうしようかと、とても心が揺れて、息子を信頼するまでは大変でしたが、それでも、最終的に子どもに寄り添ってみよう、それで「大丈夫」と思える自分がいたのです。

永保子  息子さんを信頼される中、どのような思いや経験をされましたか?

Aさん  今いる学校にとても受け入れられているという気持ちがすごくしたんです。息子の場合、表に見えない障害なので、クラスメートのお母さんに、「ちょっと問題があって」と言ってみたら、「そんなのみんなあるよ」って言われたり、さらに「自閉症なのよ。」と言っても、「へえ、そうなの」と、特別視や問題視しないで受け止めてくれた気がしたんです。夫は出張が多くて、毎日息子に触れていないのもあって、逆に息子の核心を見て信頼しているので、そんな様子にも助けられました。
 今までは、息子を学校に迎えにいくのもドキドキで、先生に息子のことで何か言われて、がっかりする自分が嫌でした。でも、ありがとうという感謝の気持ちで迎えに行こうと気持ちを変えたら、すごく状況が変わりました。先日、先生が「彼はもう大丈夫よ」と言ってくださったんです!クラスでの行動や参加の様子が安定してきて、毎日誉めてもらっているそうです。今までは遠足も私が同行しないと困ると言われていたのに、「もうお母さんが来なくても平気よ。」とまで言われました。こんなに気持ちがすぐに伝わるとは思いませんでした。 息子は、お洋服など、気持ちが悪くなる物がたくさんあって、朝のしたくもすごく時間がかかるのですが、この前「気持ちが悪いんだけど、頑張ってズボンをはくから、はいたらママがすぐに僕の足をマッサージしてくれる?」「あ!今なら大丈夫!僕、学校行ける!」という風に、わたしと協力して、朝も間に合う時間に学校に行けるようになりました。
 ママ友との関係でも悩んでいたことがありましたが、それまで相手に伝えられなかったのは、彼女を信頼していなかったのだと分かりました。夫との関係も、嫌なことがあっても見過ごしたり、「何なのよ、その態度は!」ではなく、あなたにそういう風に言われて、今こういう風に感じているって伝えるのは大切なことだと思うようになりました。ママ友とのことがきっかけで、夫ともコミュニケートしようと思ったんです。嬉しい気持ちも心に思うだけでなくて、伝えるようにしようと思いました。言葉にすることで開けてくることがたくさんあるなと感じています。

悦子  話をしてみないと分からないことはいっぱいありますね。自分の中だけで考えていると、相手のことも本当の姿ではなく、違う人を作り上げてしまっていたかもしれないですね。

永保子  前回から引き続き、ご自分の内側にある‘わたしは足りていない’という思いに向き合ってこられたんですね。感情を無視したり抑えたりしないで、こんなに足りない自分はダメだとか、足りないんだからしっかり頑張らなきゃ大変なことになってしまう、これからどうしたらいいの?と恐がっている気持ちを、少し静かな気持ちで見て受け入れて、落ち着いて伝える経験もされたのですね。先生は、Aさんの感謝の気持ちや、穏やかな心を映し出してくださったのだし、息子さんも、お母さんと一緒に、お互いの気持ちを感じて裁かずに受け入れていくこと、それを表現していくことを練習しているのだと思います。

Aさん 息子や先生や夫が伝えてくれていることに対して、わたしが焦ったり混乱して、受け取れていなかったんだなと気がつけたことも、本当に良かったなと思います。

Bさん  2歳の息子が週に3回通っているデイケア(保育園)を変えようかと悩んでいます。私は子どもにあまりテレビを見せていないのですが、デイケアに送り迎えに行くと、いつもテレビがついているし、もう10ヶ月も通っているのに、最近になって、お昼寝の時に必要なブランケットとマットを持って来てと言われて、今まで息子ははどこで寝ていたのだろうと、可哀想になってしまったんです。友人が公園で遊んでいる息子を見かけた時も、デイケアの先生が、息子の洋服のボタンをちゃんと止めていなくて、服がはだけていたそうで、そういうことが嫌なのですね。        
 息子はデイケアに慣れているので、環境を変えたくはないし、家からも近くて便利なのですが、迎えに行った時に、「今日、子どもはどうでしたか?」と聞いても「彼はすばらしかったわ」と言うばかりで、私としては、どれだけご飯を食べたか、うんちはしたかなどを聞きたいのに、それだけで終わらされているのが嫌なんです。こういうことって、わざわざ言わないと答えてもらえないことなんだろうかって・・。。

悦子  日本の感覚だと言わなくても分かるだろう、と思いますが、こちらでは皆さん、いろんなことを先生に言っていると思います。あくまで、ディスカッションという形で、自分はこう思っているけど、どうでしょうか、と話してみればいいのではないかしら。

Aさん 私は、自分から交換日記を作って、先生に渡しました。気になることを項目にして、一言で良いから書いてくださいとお願いしたら、先生は快く引き受けてくれました。もしも出来ないと言われたら、また考えればいいし、何か案を出すのもいいと思いますよ。

永保子  目の前に現れる人が、どんなに理解のできない人、例えば大ざっぱな人に見えたとしても、お互いの間には愛があるということを思い出すためにわざわざ来てくれていると思ってみると、必ず、お互いの本当の思いは同じだということを分かち合えると思うんです。ただ、Bさんがそれを受け取るには、自分から心を開くしかないんですね。相手に心を開くことで、安心や信頼のつながりを一緒に感じることを経験するしかないと思うんです。だからもう一度、ご自分がどうしたいか、どうありたいのかを明確にしてみませんか。もしかしたら、コミュニケーションから後ずさって引いてしまうというのは、普段、他のことでもあるのかもしれませんね。

Bさん  そうなんです・・。今日、「じゃない会」に来てみて、デイケアを変えようかとすごく迷っていたのですが、わたしがスタッフに対して、‘あなたたちはそういう人なのね’と決め付けて考えていたから、すべてが、そういう風に見えていたんだというのが分かりました。

永保子  素晴らしい気づきですね!‘私たちは何もわかっていない’ということが、わかっているのが本当に大切なことだと思いますね。そういう気持ちでお願いすると、スタッフの人とも、お子さんを思う気持ちは一つだということが、何かしらの経験として与えられると思うんです。そうして、関わっている人たち全員の中で、息子さんが育まれていくのだと思えるといいですね。

Cさん  前回から今日までに、息子の大学の入試の結果が全部出て、進学先を決めました。その間、わたしは息子を見守るというより、不安をエネルギーにして、いろいろなことを調べては、気持ちが上下しました。でも息子は、喜びから始まって選んでいるんだなって思えたし、ただ喜んで学校を選んでいる息子の姿を見て、そこから学ぶことができました。
 今までは、わたしが子どもより優位でないと、親としてちゃんとしたことが言えないと思っていました。でも、お任せするということを学んだのが、私にはとても大きくて、お任せするとすごく楽に進むようになりました。もちろん、物事はきちんと見て、向き合うことをするのですが、後はお任せしてみたら、以前の自分と、今の自分を比べたり、自分と息子を比べて苦しかったことがなくなって、気持ちが楽になりました。委ねるって、実はすごく勇気のいることですね。でも、自分だけで解決しようとすると駄目で、委ねよう、任せようってなって、大丈夫と安心したら、解決するのも早いと感じました。秋に息子が家を離れる時、自分の心の揺れがどうかなというのが今の課題なので、また心の訂正を続けたいと思います。

永保子 私たち全員が、本当の自分を経験するということが、もっと出来るはずだと実は思っているから、その情熱を隠しようがないからこそ、葛藤するんだと思うんです。誰もが本当は、葛藤の奥にある、本当の強さや光を経験したいはずなんですよね。だから、自分の外側にあるものに気を散らすのをやめて、自分の内側を観察して、何を感じているかをちゃんと見ていくことが大切ですね。
 その時に、こういう結果であれば幸せだとか、あの人がこう変わってくれたら信頼できるとか、そんな条件設定があったら、心の訂正は不可能だと思うんです。信頼してお任せをしているつもりなんだけど、まだ自分でごちゃごちゃとやってしまうのは、やっぱり、自分の考えとか思いに信頼を置くということを、選んでいるからでしょうね。Cさんのように、子育ては、自分の心を訂正する機会だと分かっている心でありたいですね。

次回は、5月22日(木)正午からです。

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