CRSレポート⑩ 小野永保子、坂本悦子

Aさん 

子供と一緒に笑うことが多くなりました。前回、旅行先でも夫は仕事ばかりで、私一人で子供を連れて歩いたので大変だったと話しましたが、5歳の息子は、旅行がとても楽しかったそうで、「僕は、学校でずっとおりこうだったけれど、旅行が楽しすぎて変わった。」と言います。以前は私がカリカリしていたので、その言葉も耳に入らなかったと思いますが、気持ちに余裕ができたせいか、息子の言葉だけでなく、いろいろなことを面白いなと感じるようになりました。すすめられてカウンセリングを受け始めましたが、結婚したことを後悔したりして、凄く疲れました。ずっと遠距離恋愛をしていて、やっと結婚できたのに、彼は忙しくて、私が寂しくて泣いたりすると、弱いと言われ続けていたから。カウンセリングの先生に聞いてもらったりして、ホームシックになったことを、それはそうなるわねと認めてもらえたので、ああ、私は間違っていなかったのだと思えました。

永保子

思い浮かんだ過去のことを無視する訳にはいかないし、かといって、過去を振り返ることに没頭していると、そこにエネルギーがあるように感じるので疲れるのだと思います。大事なのは、過去の記憶を使って、そこにある感情を手放して、心を安心に戻すことなんですね。

Aさん

夫には、過去のことが原因で、今こう思うのよって言っています。私は家の掃除とか食事とか子供の事をやるのはいいけど、彼のことなのにどうして私がやらないといけないのかと思うし、結婚する前から、夫は、お金のことは自分に任せて、私は家事をやってと言われて、疑問に思っていましたから。 それをアメリカ人の先生に話したら、それはおかしいって言われたことも思い出しました。結婚してからは、何もしなくていいよという風に変わりました。私がしたくないものはしなくていいと。でも結局はやって欲しい感じだし、そういう風になった時に、会社の人たちの奥さんは、昭和の女性みたいでないと上手くいっていないし、私のように強い女の人だと離婚していると・・。

永保子

自分はどうありたいのか、自分はどうしたいのか、ということに意識を置きたいですね。ご主人が過去にこう言った、結婚する前はこう言った、今はこう言って、世間ではこう言っているとなると、混乱してしまうわよね。結婚する前に、彼に家事をやってと言われた時、 Aさんはどうされたの?

Aさん

やったり、やらなかったり。でも言われた時はやっていました。

永保子

やらなくてはいけないと思うのは辛いのじゃないかと思うの。それは彼や結婚が原因ではなくて、 Aさんの心にあるものよね。

Aさん

結局、彼はいつも忙しいし、それについて私が彼に話したところで、そんなところまでレイジーなの?って言われたこともあるし。結局は、彼は私に家事をやって欲しいんだろうな、私がやるべきだと思っていると思います。

永保子

喜びでやっていると、どんな内容であっても「ああ嬉しい」というのがひろがっていくと思うのだけど、あなたがやらないから、私がやらなくちゃいけないでしょ!というのだと、自分が監視されているような感じで、いくらなにをしても、不安になるのではないかしらね?

悦子

「べき」と思ってやると、心から自分が楽しんでいる訳じゃないから、近くにいる人には伝わってしまいますね、その波動が・・。

永保子

どこかで、あなたもやってという思いがありながらしていると、こんなに頑張っているのにわかってもらえないという思いが出てきますよね。辛くなって、ご主人やお子さんに当たってしまうと、辛さがもっと強くなりますよね。そこから抜けるのには、察してもらうのを待つより、「助けて」っていう気持ちを差し出して、受けとってもらうということができるといいですね。

Cさんのご主人は世界中を飛び回っておられましたが、その中でCさんは子育てをして来られたのですよね?

Cさん

夫は文字通り、24時間働き通しでした。今、大学生の娘と24歳の息子がいますが、上の子に手がすごくかかり、夫は家に全然帰ってこないし、海外にも出張が多くて、私は現地の言葉も分からなくて、本当に追いつめられていました。アドバイスをくださる方がいて、あなたが思っている不満を旦那さんに言ってみたらと。私はそんなことを言ったら、夫婦関係はおしまいになってしまうし、子供がいるので無理だと話しました。その方は、夫は私が思っている以上に分かってくれる人だから言ってみなさいと。上の子は障害があるので、私が頑張ろうと思えるけれど、夫には触りたくもない、しゃべるのも嫌と思っているかもしれないけど、男の人は寂しいのよと言われました。

私は不満を言わないタイプでしたし、子供の前で喧嘩を見せたくなかったので、クロゼットの中で言ったのです。主人は自分のお母さんのことを天使だと思っていて、それを傷つける訳にはいかないと思ったけれど、私にとっては天使ではなかったから、そのこともすべて話したのです。涙ながらに話したら、夫はあっけにとられちゃって、そんなこと聞きたくないという感じで、これでもう二人はおしまいかと思ったら、翌日から彼がガラッと変わったのです。早く帰宅できる訳ではないのですが、言葉に愛情を感じるようになりました。本当は手伝いたいし、有り難いと思っているって、自分がこう出来るのは私が家を守っているからって。あの時は、海外で言葉は通じないし、上の子はまだ5歳なのに言葉は全然出ないし、私の心配事は長男だと思っていたけど、実は主人との関係だったのです。でも素直に自分の弱みを見せられたのが良かったと思います。「ひとりで出来る」って思っていたほど、私は気が強かったから、「助けて」って素直に言えて、私の家族は随分変わったのです。その10年後には、夫は、料理を作るまでに変わったんです。アメリカ人なのに、ゴミ捨てなんて男の威厳に関わると言うので信じられないと思っていたのですが。15年後には、掃除もするようになりました。時間はかかったけど、あの時に自分が「助けて」って言ったことがきっかけだったと思います。

悦子

自分で被害者だと思わないで、コミュニケーションをとらないといけないですね。それは相手に自分はこれだけやっているのだから認めて!っていうのではなく、心から伝える。私は心から必要としている、だから助けて欲しいと。 Aさんは伝えないといけないですね。

Cさん

アドバイスくれた方は、素直に「助けて」って言ったら、それを受け止められる方ですよ、彼は、と。私は冗談じゃないわ、私は大変なのよっていう気持ちで一杯だったから、目が吊り上がって、「言えません、そんなこと」って。だって、こっちが大変なのに何で私が〜〜!って思ってたから。

悦子

Cさんもそんな時があったのですね。お互いに自分がいっぱいいっぱいの時って相手もいっぱいいっぱいの時なのですね。

Cさん

そうなのです。向こうも私がいっぱいいっぱいだというのを分かっているけど、負けられないというか。自分だってって。

Aさん

そうですね。主人もカウンセリングで私がいっぱいいっぱいなのは分かっていたけど、自分は何も出来なかったって。

永保子

Aさんが、そこからいち抜けたって思えるといいわね。

Cさん

そうなのよね。私の時はすごいジャンプだった。たぶん弱みを見せるのが怖かったのかも。夫に、自分がすごく辛いって伝えるのが、ものすごくハードル高かったのですよ。

悦子

家庭内で、自分自身が優先順位をつけているということもありませんか? 家庭を自分が守っているという気持ちがあるし、男の人は男の人で自分が守っていると思っているだろうし、ここは私の領域とパワー同士がぶつかり合ってしまっている。本当だったら、一緒に手をとってやらなくちゃいけないのに、自分の方がとやっていると、そこに色々な亀裂が生まれてしまう。パワー同士であたると、どうしてもはじけてしまいますね。

永保子

ご主人は、最近どうですか?

Aさん

ますます忙しいです。子供の日本語学校をどうしようかと相談したら、行かせてあげれば、というのですが、じゃ、誰が連れて行くのよとなると、返事はないです。何度も聞かれたら、夫も嫌だろうし無理して行かせることはないかなと思っています。日本の一時帰国に関しても、彼が航空会社のマイルがあるので、それを使いたいというので待っていてもなかなか手配してくれないので、それだったら自分で買うからいいよっていうと、やるからと・・。あまりプッシュしたくないのですが、ちょっと待ってっていわれると、どうしていいかわかりません。

悦子

そうよね、やってくれるまでは、イライラしちゃうわよね。

Aさん

そうこうしているうちに、また凄く高いお金で航空券を買うことになるのかなと思うと、イライラします。彼もいろいろなところに出張したり、ばたばたしすぎているのですが。忙しさにさらに色々なことが重なってしまっているので、私はそこに入らないようにしています。

永保子

Cさんが言ってくださったように、本当に Aさんがお願いするという心でいれば、変わっていくと思うのです・・。

お願いするという心になるのには、自分が何にしがみついて、ご主人に勝とうとしているのか、ご主人にというより、ご自分と戦っているのだと思うのだけど、自分自身の何と戦っているのか?

お願いしたら、何か自分が侮辱されているとか、自分のテリトリーを侵されているという気持ちがあるのかな?

Bさん

そうですね、友人の私からみると、常にご主人の上にいたいというように見えますね。

永保子

手一杯なのに、ご主人を排除しているというのは、自分が上でいるためにそれを使っているのかもしれないけれど、やっぱり自分も苦しいのよね。どうして自分が上に立ちたいのかな?

Aさん

やっぱり馬鹿にされたくないからかな。自分に自信が無いから。

永保子

お願いしたら、自信の無い自分がますます出てきてしまいそうで、怖いのよね。だけど、お願いしたら、本当に素晴らしい完璧な自分が出てくるのよ。

悦子

なにかコンプレックスをもっているのかな?

Cさん

働いたから尊敬されるのではないのよ。

永保子

価値がないと思っていることをやらなくてはいけないのは苦しいわよね。

お願いします、なんて言ったら、もう惨めでやっていられないということになるのよね。でもCさんが話してくれたのは、お願いすることで自分を貶めていることから救われるということですね。

Cさん

それが、ありがとうということになるのよ。思いがけないことだけど。

悦子

感謝されたいのね。やっぱり、それを見せて欲しいのよね。

Cさん

そう、私にもそれがありましたね。お願いしたら、ますます私が弱くなる気がしていたのですが、子供が可愛いし、子供はパパのこと大好きだし、思い切ってお願いしたら、感謝してくれたのです。補習校も、無理な時には行かせなくてもいいと思うのです。私の場合、その時はイギリスにいたのだけど、行ってみたら先生がとても美人で、そうしたら主人はうきうきして行くようになりました。私はその日は休ませてもらえました。あれは本当に不思議な経験でした。バンジージャンプしてみたのがよかった。

永保子

何とかして欲しいという時は、相手に依存して、しがみついたり拘束していたりするのだけど、お願いしますと言った時点で、ご主人を自由にしているのですね。

Aさん

私が夫に言ってきたことは、お願いじゃなくて、ひたすら要求をしてきたのですね。自分の要求をしてきたということは分かっていて、それはすごく悪かったと感じます。

永保子

ご主人だって、Aさんだって、お互いに本当は精一杯答えてあげたいのよね。 皆そうですよね。

Cさん

そうですね、自分が思う時って相手もそうなのですね。

永保子

要求ではなくて、向き合って、お願いという気持ちでコミュニケーションをとっていかれるといいですね。飛行機のチケットにしてもプッシュするのじゃなくてお願いして、信頼の心でお任せしてみるのよね。

Cさん

主人も最後の最後までプッシュは嫌で、僕に任せろっていうタイプでした。家族で旅行に行くときも、朝6時のフライトを取って、夫は仕事から朝の4時に帰ってくる。そうすると私は心配で眠れないの。でも彼は5時にパッキングして、寝ないでそのまま行くの。で、タクシーの中で仕事をしてポストに投函して旅発つの。もうその頃にはクタクタ。子供が小さくておむつ替えしている時でもそうでした。でも手放したのね、私は。横でお茶でも飲んでることにしたら楽になったのです。

Aさん

私もお願いしてもすぐに返事がないので想像してイライラします。

悦子

考えてしまうと、色々なことが出てきてしまうから自分でも辛くなるけど、それが良きことのために起きていることなのだと切り替えてみると、想像することも愉しくなるのではないですか。

永保子

そうね、相手の動きに寄りかからないで、そのまま受け入れて、自分の心に責任を持とうという意思が必要になってくるわね。心が揺れるときは、信頼のコミュニケーションを練習しようと思いながら、だんだん上手になっていくのだと思いますよ。

Cさん

ご主人が一言でやってくれればいいけど、辛いと思うことはあると思うから、その気持ちは当然だと思うの。自分も働いていたし、主婦になって社会からも置いてきぼりになった気がして、ポツンとなったようで。ああ、思い出しちゃうと泣けちゃう、本当に。

永保子

初めて会ったCさんがこうやって話してくださるのも、Aさんが心を開いていらっしゃるからだし、助けてもらえるのよね。それに、Cさんのご主人は、100%愛の方で、誰に対してもそういう方でしたね。

Cさん

そうなの、主人のことも大好きだったし、彼自身もとてもいい人だって分かっていても何故か、そうなってしまった。でもそれを取り戻せた日々があったから、本当に感謝しています。

永保子

心が私たちの体の中にあると思うと、すごく孤独になるのだけど、心はそんなところにあるのじゃなく、私たちの間にあるから。それを見ようとするかどうかは、私たちの心に責任がありますね。

Aさん

比べてはいけないと思っていても、他のご主人は早く帰ってきて、家のことを手伝ってくれるから。日曜日も、主人が仕事していて、公園に行くと皆が家族でいるし・・。

Cさん

そうよね、頭ではわかっていても実際見るからね。本当に辛い思いをしているお母さんにも思いがいくしね。やっぱり孤立しているお母さんを助けてあげたいと思うし、同じようなお母さんと手を繋ぐというのも手かもしれない。苦しんでいるお母さんはいっぱいいるから、そう人たちと子供を預け合ったり、いっしょに遊ぶことで取り戻せる楽しさもあると思うし。

永保子

今Cさんが話してくれたことも本当にそう思います。それから、 Aさんのご主人が本当に100%の愛を持って Aさんの前に居てくれているのを受けとっていく練習ですね。受けとる練習、それをやっていかないと自らも解放されないし、たとえ家事や子育てから解放されて一人の時間を持っても、心は幸せではないと思うの。

Cさん

一生懸命働いているというは、愛の象徴。主人も言ってたことがあるわ、一所懸命働くのが、僕の愛の表現だと。家事や掃除は得意でなくても仕事をすることで、家族を支えられるって。男の人はそんなに自分のことをぺらぺらしゃべらないから、自分の欲しい愛の言葉を言ってくれないかもしれないけど、例えば一生懸命働くということも愛なのだと思う。

永保子

本当にそうですね。ご主人は表面は不器用で分かりづらいかもしれないけれど、彼の愛が本当にあるのだと感じるには、 Aさんがどうしたらいいのか。それは Aさんがまず心を差し出してみることだと思います。愛の通路はちゃんとあるのに、全然違う通路でやってしまうと感じられないけれど、シンプルに心を差し出しだすと、愛は目の前にあるのに、見えていなかったなあという経験が受けとれると思いますよ。

2015年3月

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